見方・考え方は「働かせる」もの  山田光太郎

 

現在特別支援学級の担任をして5年目になります。それまでは通常学級の担任をし、算数科研究を中心に実践を積み重ねてきました。

先日、くまもと授業のユニバーサルデザイン研究会の学習会で実践発表をさせていただく機会があり、これまで13年書きためた教育論文を見直すことから始めました。

6年前の自分の論文から、6年生の「資料の特徴を調べよう」という単元で、自分の発問と子どもの反応を9時間分まとめた実践がまず初めに目に留まりました。「言語活動の充実」が求められていた頃でした。発問の実践なのに、視覚化の努力をおしまなかったなあと、板書の写真を見直してみて感じたところです。

研究主任をしている関係で、現在勤務している学校で7月に算数授業UDの提案授業を通常学級で行いました。4年生の3けた×3けたのかけ算の筆算です。

その頃、私は算数・数学的な見方・考え方は「身に着ける」ものと考えていたので、山場にたどり着くまでに押さえておきたい用語や学習内容をていねいに共有化していきました。その結果、教師と子どもとの1対1の学習が長引き、時間も足りず、結果だらだらとした授業になってしまいました。

9月に日本UD学会の全国大会に参加しました。プール学院大学の、石塚謙二先生の基調提案の中で、教科の本質は、「見方・考え方」の深化であり、「見方・考え方」は単に身につけるだけのものではなく「働かせるもの」とありました。それを聞いてとてもはっとさせられました。そして、新指導要領を改めて読みなおしてみると、やはり「働かせる」とありました。

そこで、9月にもう一度4年生の面積で授業をさせてもらいました。1㎡は何㎠かということを考える学習です。1mは何㎝かとか、余計な押さえをせず、3人グループに1枚、実際の広さの1㎡(1cm幅の縦横の罫線をいれたもの)を配り、調べさせてみました。「こことここをかけて~」とか、「たてが100こになるはずだから~」とか、子どもたちは実際の1㎡に1㎠がいくつあるのかを算数・数学的な見方・考え方を「働かせ」ながら学び合い、全員が1㎡が10000㎠だという結論にたどり着くことができました。私が余計なことをしゃべらなくても、子どもたち同士で論理的に話し合って学習を深めていました。

見方・考え方を「働かせる」という視点で授業をデザインしたら、必要な手立ても最小限にとどまり、授業がシンプルかつ、全員参加型・全員満足型に向かっていったような気がします。

これまでの実践を振り返り、実践を積み重ねれば積み重ねるほど、UDの視点は教科の本質にせまるために欠かせないものと感じています。また、現在特別支援学級を担任し、これまでの自分の授業のあり方について改めて見直す日々です。