カテゴリー「 実践紹介 」の記事

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熊本市立日吉小学校 山田光太郎  

5年生40人の担任をしています。3学期が始まりました。最上級生になることを目前に、頼もしくなった子どもたち。その成長ぶり励まされながら、教育の情報化など、激動の時代の訪れを肌で感じています。 4月から実施される学習指導要領改訂では,社会の変化が加速度を増す中で,これから学んでいく子どもたちが大人になる2030年頃の社会の在り方を見据えながら,どのように知・徳・体にわたる「生きる力」を育むのかを重要視しています。一方的に知識を得るだけでなく,「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善をさらに充実させ,これからの時代に求められる資質・能力を身につけ,生涯にわたって能動的に学び続ける児童生徒の育成が求められています。 また,インクルーシブな社会の実現を目指す中で,教育においても同様の「インクルーシブ教育」が求められるようになっています。教材研究や授業参加への工夫や合理的配慮も,これから一層求められています。

授業UDに興味を持つようになったのは5年前。当時私は知的障害特別支援学級を担当していました。1時間の授業で3学年7名同時に教科指導をすることもありました。1人ひとりの能力や目標に合わせた授業実践や教材作りの経験は、現在通常学級を担当するうえで私の財産となっています。

特別支援学級で指導案を作成する場合、1人ひとりの実態と、本時(単元)で身に着けたい力や目指す姿と、それに対する具体的な手立てを詳しく記載していきます。算数でいえば、今どれくらい身についていて、この単元で何ができるようにするのかをできるだけ明確に記載していきます。私は算数のたくさんの問題集から少しずつ問題をあつめた、算数アセスメートシートを作成し、1人ひとりの単元の定着度を調べていきました。

アセスメントをとってみると、5人いればそれぞれのつまずき方があり、それぞれの得意分野があります。それをできる限り把握して、目標設定や教材作成に役立てていきます。

アセスメントを半年ごとに実施しながら、指導方法を改善していきます。  テストを実施し、採点し、エクセルに入力…1人でやるにはなかなか大変な作業なのですが、どんな結果が出るかワクワクしているので全然負担に感じません。半月前と比べて定着してきた単元が増えたり、理解に苦しんでいた内容ができるようになって喜ぶ子どもたちをの様子を思い浮かべると、とても元気が出ます。  

私が心に残っている授業を紹介します。小数の学習で、2.3は1を何こと、0.1を何こ集めた数かを探る学習です。小数の数構成を理解する難しい内容です。

0.1の何こ分をどうやったらとらえられるか…。かなり悩みました。  はじめに「おてだま落としゲーム」をします。床に書いた数直線の2.3mのところに的を置かせます。「2.3mってここでいいかなぁ。」楽しく活動しています。 そして課題の「2.3は0.1の何か分ですか。」に出会います。  特別支援学級の子どもたちにとっては具体物を使って体験的に学習するのがいいのかもしれないけれど、思い切って線分図のみを3人に渡しました。  かなり時間をかけて、3人で議論を重ねていきます。「先生、分かりました!1が2こで、0.1が3こです!」「すごい!でもこの図のどこに1が2あって、0.1が3つあるの?」「えーっと…あっそうか!分かった!」「ほら、ここに1が2つでしょ?…」 線分図というツールを使って、教師や友達と対話しながら答えを導いていきました。 数直線や線分図は、数の構造を理解できるようにするための「視覚化」そのものだったのです。また、1人では解決できないことを、友達と協働解決して行く過程で「対話」は理解を深めるためにとても有効だという手応えを感じたこと今でも鮮明に記憶しています。 通常学級で算数の授業をしていると、時間を気にするあまり結論にたどり着くことを急いてしまうことがあります。うまく時間内に収まったのだけど、どの子も十分に算数的な見方・考え方を働かせられたのか、「深い学び」になっていたのか、と反省することも少なくありません。だからこそ、学習内容や活動内容を焦点化し、どの子も教科の本質に迫れるような授業デザインが必要なんだと思います。

昨年度、ありがたいことに熊本市教育委員会に提出した教育論文を入選に選んでいただきました。「全ての児童が楽しく「分かる・できる・考える」算数の授業を目指して~「深い学び」を支える授業UD「三段構えの指導」の実践~」をテーマにまとめたものです。この教育論文は、今回のコラムで紹介したような、特別支援学級で学んだ指導法や検証方法をかなり参考にさせていただいでいます。内容については、機会があればまたコラムで紹介させていただきたいと思います。

くまもと授業のユニバーサルデザイン研究会では2月12日に、日本授業UD学会理事で、日本授業UD学会理事で国際数学理科動向調査(TIMSS)国内専門委員の礒部年晃先生を講師にお招きし、「算数の深い学びを支える授業UD」をテーマに学習会を計画しています。算数や授業UDに関心がある方、これから授業がもっと上手になりたいと思っている方、一緒に学びませんか?

申し込み(こくちーず) https://www.kokuchpro.com/event/7b925a087e6ecd1fe1194197482fea9c/

くまもと授業のユニバーサルデザイン研究会第11回研究⼤会は、⽇本授業UD学会理事で、東京都⽴⽮⼝特別⽀援学校主任教諭である川上康則先⽣を講師に、特別支援教育に置ける授業のユニバーサルデザインについて学びました。当日は約100人ものご参加頂いた先生方と共に、どの⼦も楽しく「分かる・できる」授業デザインや学級経営について、県内教諭の実践発表を交えながら、たくさんのことを学ぶことができました。参加していただいた先生方一人一人にとって、とても学びのある会になったのではないでしょうか。本大会のために東京からお越し頂きました川上康則先⽣、本当にありがとうございました。また機会がありましたら、ぜひ学ばせてください。

 

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