「研究授業の前時がうまくいく理由」         
                               若葉小 井上伸円

 研究授業の前日に、授業者からよく聞く言葉。
「あー、今日が本番だったらよかったのに・・・」
 もちろん私も、よく口にした言葉です。そんな時は、たいてい本番の研究授業がうまくいかない。なぜ、この現象は起こりがちなのでしょうか。
 やはり、本番の授業はギャラリーもいますし、子どももいつも通りではないでしょう。授業者は肩に力も入り、前のめりになりがちで、子どもの声をしっかり聴くことができないこともあるでしょう。それに比べると前時の授業は授業者も子どももいつも通りの力が発揮できるでしょう。しかし、前日の授業が上手くいくのは案外、次のような理由からではないでしょうか。
○ 前日の授業は、本番を控えているので教師が欲張らない。
○ 前日の授業では、(教師が)学習が先に行き過ぎることを嫌い、今、子どもがどんな考えをもっているか探ろうとする。
 結果、授業が自ずとシンプルになります。また、教師が子どもの言葉にしっかりと耳を傾け、根拠を尋ねたり、ほかの子どもに問い直したりしながら児童の考えが吟味されます。
 一方、本番の授業はどうでしょうか?
○ あれもこれもと教師が欲張ってしまいがち。
○ 指導案に書いた授業のゴール目指して、教師は前へ前へと学習を進めがち。
 前時の授業で出された良い考えも紹介したいし、これまでの学習も振り返りたい。気がついたら本時の課題が提示されるまで20分が過ぎていた。普段はやらない「振り返りシート」も書かせなきゃならないから、どんどん教師が学習を進める。期待する答えが出ないために発問を連発。でも、板書だけはいつもより見栄えがよかった・・・。
 こんなことにならないためにも、授業に挑む際にudの授業づくりの視点を意識し「子どもと共に授業を創る」という教師の願いを高めていきたいものです。でも、研究授業になると、なかなか子どもの言葉をじっくり聴けないし、欲張っちゃうんだよなー。