第41回学習会は、子どもたち一人ひとりが安心していきいきと過ごすことができる教室・学級にするために、どのようなことを柱としながら日々の子どもたちとの生活を見立て、取り組んでいくのかについて、具体的な実践発表をもとに、先生方と考えました。

まずは、熊本市立若葉小学校 東千貴先生より実践発表をしていただきました。

 東先生は、子どもたちがつながり合う学級づくりの柱の一つとして、「特別の教科 道徳」を挙げられました。今年度、東先生が特にこだわられた「導入」。子どもたち一人一人が素の部分を出し合いながら互いに話し合い、ねらいに迫っていくために、「スタートを揃える」ことについて言及されました。子どもたちの学習の様子から、主発問でしっかりと道徳的価値に迫っていくために、まず登場人物の状況や気持ちをイメージするなど、「スタートを揃える」ことが、重要なステップになったという気づきでした。大切な共有化の一つだと感じました。また、自分の意見を持つために、まず子どもたちの考えをいくつか取り上げ、その考えを「選択肢」として、自分の考えに近いもの、納得できるものを選び、理由を考えていき、全員が自分の考えを持つことができるよう工夫されました。「友達のおかげで、新たに気づくことができた」というつながり合いを実感できるようにファシリテートされ、子どもたちの実態をしっかりと見立て、授業の中核に迫っていくための見取りを丁寧にされていることがとても印象的でした。

 次に、熊本市立帯山西小学校の小松丸瞭先生より、「表現するって楽しい」というテーマで、「アウトプット×振り返り」の視点で、特別支援学級における実践をご発表いただきました。

 なんといっても、実践を支える理論的背景をしっかりと持たれ、子どもたちの「課題」となる部分ではなく、「持てる力」の部分に大きく焦点を当て、一人一人が、前向きに、主体的に周囲と関わっていこうとしていくプロセスを、先生の発表を通して感じることができました。子どもたちが、タブレット端末を「友達と関わりあうためのツール」として、自分の得意なこと、好きなことを活かせるツールとして、さまざまな場面で活用し、それぞれに応じた使い方をしていました。

先生は、活用の場だけでなく、振り返りの場をしっかりファシリテートされ、子どもたちに任せるところ、先生が導いていくところ、その絶妙なバランスで、子どもたち自身が自信をつけながら使っていけるものになるまで、しっかりと寄り添い、共に楽しまれていて、今年度の小松丸学級のストーリーを感じました。

 実践発表の後は、熊本市立黒髪小学校の有内文香先生をお迎えして、お二人の先生方の実践を価値づけしていただきながら、子どもたちが安心してつながり合うために、どんなことを大切にしているかといったテーマで意見交流の場を持ちました。東先生の実践について、子どもたちのつながり、子どもの姿から自身の授業のあり方を変えてきたこと、教材を丁寧に読み解くこと、自分の思いを表現できるための方法を子どもたちと一緒に模索してきたことについて話を深めました。また、小松丸先生の実践を通して、子どもたちの得意なことや好きなことを生かすという視点について大いに共感され、振り返りが次の学びにつながっていること、タブレット端末が個人の学びを深めるものとしてだけでなく、関わりあう道具になっていることについて、小松丸先生のお考えを共有していかれました。話の中で、わたしたち教師の子どもたちを見とる力、実態を掴む力の重要性や、こうした先生方の姿勢が、教室での子どもたちのつながりや雰囲気を作っていくのではという話になりました。途中で、チャットやアンケートに答えていただきながら、会にご参加の先生方からもお話をいただく機会を少しでしたが取ることができ、有意義な会になりました。

 今回も、全国各地からたくさんの先生方にご参加いただきました。今年度の学習会は、今回が最後となりました。今年度もたくさんの先生方にご参加いただき、たくさんの学びを共有できたこと、大変感謝いたしております。来年度も、先生方とともに、学び続ける研究会でありたいと思います。来年度もどうぞたくさんのご参加をよろしくお願いいたします。