熊本市立日吉小学校 山田光太郎
昨年度3月からの休校中、学校に配布されているタブレット端末を使ってオンライン学習に取り組みました。
当然誰もが初めて取り組むことでした。当時の合言葉は「やってみなきゃわからない」でした。
初めの問題点として、ミュートやチャットの使い方でした。
ルールが出来上がると次第に子どもたちも学習に向かうようになっていきます。
ルールが明確になると次は、見えづらさや聞きづらさの問題です。
やってみたから分かったことです。
熊本市から配布したタブレット端末には、「ロイロノート・スクール」という授業支援アプリがインストールされています。

授業だけでなく健康観察や連絡等にも使うことができました。
オンライン授業で、子どもたちが快適に授業を受けられるようになるまで、様々なことに取り組みましたが、子どもたちが使い慣れたアプリが一番良かったと感じています。
授業を重ねていくと、「今日は聞き取りやすい」「画面が見やすくなった」と子どもたちがチャットを使いながら教えてくれます。
でも、授業が互いにうまく流れるようになってくると顔を見せなくなる子どもが出てきます。
きっと、自分の顔がみんなの画面に出るのが恥ずかしい子もいるだろうと思い、顔出しを強要しないことにします。(顔を見せないことで参加できるという子もいたと思います。)
次の問題が出てきます。それは、個別支援が十分にできないということです。子どもたちから提出されてくるカードに評価をいれているうちに少しずつ分かってきたことです。
普段なら教室を回りながら机間支援をしたり、立ち止まってヒントを出したりします。
それが十分できないことと、授業が一方通行しがちになることで、子どもたちの始めの学習へのモチベーションが少しずつ下がっていきます。
そこで、授業改善の手がかりとしたのが「授業のユニバーサルデザイン化」の視点です。
まずは「個別の配慮」です。当然オンライン授業なのでできることには限りがあります。

〇子どもたちが取り組むべき課題が何なの分かりやすいように、提出用のカードを「黄色」にする。
〇提出先を間違わないように、カードに提出先を示す。
〇解決の手がかりとなるように、授業で使うスライドごと送る。
〇子どもたちの考えを授業の中で積極的に取り上げ、解決の手がかりを示す。
などです。子どもたちが「分からない」と感じたときに、できる限り自分の力で手がかりが探れるようにしておきました。
また、オンライン授業は画面を見続けることになるので過集中になりがちです。
授業が長くなりすぎないように、かつ何ができればよいか明確にしておく必要があります。
だから授業を焦点化し、図や資料などを視覚化しながら、何を学習しているのかを分かりやすく示しておくようにしました。


オンライン授業を行うには、これまで以上に準備が必要になります。
学習内容を焦点化し、視覚資料を効果的に扱うにはどんな見せ方をすればよいか等、毎日教材研究の日々でした。今思うと教師にとってとても大切な時間だったと思います。
~学校再開後について~
学校再開後も、オンライン授業で取り組んだ手法を使っていくつかの教科の授業を行っています。
休校中、オンライン授業中では、不登校の子どもが一生懸命学習に取り組む様子が見られました。今登校ができているわけではありませんが、ロイロノート・スクールを使った授業を行うと、自宅で課題に取組み、提出しています。
また、特別支援学級に在籍している児童も、通常学級での授業をzoomでつないで、オンライン学習で取り組み、授業に参加しています。
私自身も、普段の授業の中で、こちらから与えるのではなく子どもたちが自ら解決の手がかりを探れるように心がけるようになりました。
休校中に取り組んだことが多様な学びを生かすきっかけになったと感じています。
熊本市立日吉小学校 山田光太郎