(文中の名前はすべて仮名です)


 通級指導教室を担当しているMです。最近ますます、一人一人の感覚には違いがあるなあと思っています。2事例紹介します。

ある日、太郎さんのプリントに目の前で丸付けをすると「先生、嫌〜」と言いました。目の前で⚪︎や×をつけるのが嫌かと思って聞いてみると「赤ペンが紙をこするシュッシュッという音が嫌」とのことです。耳を押さえています。どうもガラスをひっかく音と同じくらい嫌な音のようでした。それまで私はペンによる音の違いを気にしたことはありませんでした。「どのペンなら大丈夫かな」といろいろなペンを太郎さんと試してみました。「大丈夫」と言ってくれたのは赤鉛筆でした。今は太郎さんの学習の時は赤鉛筆で⚪︎付けをしています。

ある日、次郎さんが教室に来てすぐに「ん?先生、この前の時間は三郎さんの授業でしたか?」と言うので「なんでわかったの?」と聞くと「だって、三郎君のにおいがするよ」と教えてくれました。その感覚の鋭さに驚いてしまいました。

鋭い感覚は優れた能力とも言えますが、感覚過敏は彼らの生活を苦しくする場合もあります。私たち教師が、そういった感覚の違いがあることを知っておくことは授業のユニバーサルデザインを考える時にとても大事だと思います。(M)