今年度は,授業UDの理論を中心に学習会を行ってきましたが,今回はついに実践編。実践を通して,みんなが「わかる・できる」ための手立てがどのように取り入れられているのかを学んでいきました。今回は,「にこにこ・わくわくする授業」というテーマ通り,学びに対する子どもの気持ちを大切にしておられる二人の素敵な先生に話を聞くことができました。

 まず,熊本市立白川小学校の宮原大輔先生から,実践発表をしていただきました。宮原先生は,長年道徳の研究を積み重ねてこられている先生です。前任の熊本大学教育学部附属小学校では研究主任を務められ,子どもを中心に据えて展開する授業に取り組んでこられました。

 宮原先生が紹介してくださった実践は,6年「ブランコ乗りとピエロ」。同じサーカス団員の仲間の身勝手とも思える行動に対して,その行動の背景にどのような思いがあったのか理解しようとして,受け止めたピエロの姿が印象的な教材です。

 宮原先生は教材研究の際,まず学習指導要領で当該学年の内容項目がどのように示されているかを読み込むそうです。これにより,ねらいが明確になり,それを達成できるようにするにはどのような展開にするとよいか,発問や手立てを検討するということでした。このような「逆向き設計」の授業づくりによって,一人一人の子どもの実態に合った授業を目指しているということでした。

 また,ロイロノートを使って,考えの共有を図ることにも取り組まれていました。思考ツールの座標軸に自分の考えを位置づけたカードを作成・共有する時間を取り,「考えを聞きたい友達はいますか?」と問う時間が設定されていました。発表を聞きたい・伝えたいという思いが本物になるような手立てを取り入れておられました。

 次に,熊本大学教育学部附属小学校の髙田実里先生の発表がありました。髙田先生は,外国語及び外国語活動の授業実践を積み重ねておられます。

 冒頭,髙田先生が外国語の学習の際に,子どもたちがつまずくこととして,外国語を聞き取って模倣することや,音と文字のつながりへの気付きなどあると紹介されました。そのつまずきから手立てを考えていくというお話なのかな…と思ったのですが,強調されたのはその点ではありませんでした。

 つまずきの一方で,すでに子どもたちがもっている外国語を使う力に気づかせ,興味を引き出し,一緒に授業プランを立てていくという関わり方でした。子どもが主体的に学習に取り組むために,どのようなやりとりをして学習の流れをつくっていくのか,実際の英語でのコミュニケーション場面を参加者とやりとりしながら示してくださいました。

 最後に,芦北町立佐敷中学校教頭の下城秀樹先生よりまとめがありました。学習指導要領に基づいて学習のゴールを明確にすることや,子どもたちの学びに向かう心に火をつける言葉かけが大切であることを,ご自身の経験と絡めながらお話しいただきました。下城先生のお話を聞いて,改めて発表をしていただいた宮原先生と髙田先生の実践には,子どもたちが本当に知りたい,追求したいという思いをもつようなしかけが共通して存在していたことがわかりました。子どもが「にこにこ」「わくわく」するために大切なことをたくさん学ぶことができました。

 今回も多くの先生方に参加いただきました。ありがとうございました。次回の学習会は,12月17日(金)18:30〜20:00を予定しています。下記のURLから申し込みができますので,ご興味のあられる方は是非ご参加ください!よろしくお願いいたします。

https://www.kokuchpro.com/event/772efc74a356274cda6f8a0bb2d3e212/